人工股関節置換術

人工股関節置換術とは

主に変形性股関節症や大腿骨頭壊死症やリウマチなどにより、軟骨がすり減って変形した股関節の一部を取り除き、人工的な関節部品(人工関節)で置き換える手術です。手術の方法には股関節の前面を切開する前方法、側面を切開する側方法、後面を切開する後方法などの術式があり、仰向けで行う場合と横向きで行う場合があります。人工股関節置換術は患者満足度の高い手術です。

人工股関節置換術

手術時間 1時間30分程度
入院期間 7~10日
社会復帰 2~3週
通院期間 2~3か月
麻酔方法 全身麻酔
手術体位 仰臥位(仰向け)または側臥位(横向き)

適応疾患

変形性股関節症、大腿骨頭壊死症、関節リウマチなど

術式

全身麻酔をかけて、股関節の側面または前面の皮膚を切開します。股関節に到達したら、軟骨がすり減って変形した関節の一部を取り除きます。大腿骨の骨の中を特殊な工具で削って金属製のステムを挿入します。骨盤の骨は丸く削れる工具で球状にくり抜きます。大腿骨の中心に人工の骨頭、骨盤の中に人工のカップを設置します。これらの部品は金属やセラミック、プラスチックなどの耐久性のある材料で作られています。こうして、自然な関節の動きが再現されます。
※当院では、筋肉のダメージの少ない手術である仰臥位前方法を採用しています。前方法専用の牽引手術台を導入しています。
※当院では、日本人向けに開発された純国産人工股関節を採用しています。

術後経過

患者さんの状態によって異なりますが、手術当日はベッド上で安静にしていただきます。脱臼予防のため両足の間に三角形の枕を挟みます。当院では、ドレーン(血抜きの管)は原則として入れません。手術翌日から歩行を開始します。歩行が安定した段階で退院となります。

合併症

手術は安全を期して慎重に行いますが、以下のような合併症がありえます。

  • 人工股関節周囲の骨折
  • 股関節脱臼(前に外れる場合と後ろに外れる場合があります)
  • 創部感染
  • 大腿神経や外側大腿皮神経、坐骨神経の障害によるしびれ、感覚鈍麻、運動障害
  • 血管損傷
  • 深部静脈血栓症
  • 出血によるショック
  • 肺炎や膀胱炎などの内科的合併症