経皮的バルーン椎体後弯矯正術(BKP)
経皮的バルーン椎体後弯矯正術(BKP)とは
骨粗鬆症による椎体圧迫骨折に主に用いられる手術で最近行われるようになった最新の治療です。脊椎椎体骨折は通常硬性コセットを用いて安静加療を行いますが、 加療しているにも関わらず、体動時の痛みが頑固に持続している場合や、椎体圧潰が進行している場合に、手術加療を行います。レントゲン透視を見ながら行う低侵襲手術の一つで 小さな筒を骨折した椎体に挿入して、風船を筒の中から通して骨折椎体内で膨らませます。
膨らんだ風船の力をもって骨折で変形した椎体の形を可能な範囲で整復します。 次いで風船をしぼませて、形成された空間に骨セメントを注入して、骨折した椎体を安定化させます。早期に椎体を形成できるメリットがあり椎体が安定すると、寝返りや寝起きなどの痛みの大部分が改善します。
※この手術はどこの医療機関でもできるわけではなく、販売元の講習を受け試験に合格し認定を受けている事、日本脊髄学会指導医が在籍している施設であること等の一定の条件をクリアーした施設しか施術できないことになっております。
経皮的椎体形成術(BKP:バルーン カイフォプラスティ)
手術時間 | 30分程度 |
---|---|
入院期間 | 2日~3日 |
社会復帰 | 1週間程度 |
通院期間 | 1~2カ月 |
麻酔方法 | 全身麻酔 |
手術体位 | うつ伏せ(伏臥位) |
適応疾患
圧迫骨折(胸椎・腰椎等)
術式
仰向けの状態で全身麻酔を導入します。うつ伏せ(伏臥位)の体位をとり手術が開始されます。圧迫骨折椎体付近の左右の皮膚を5mm程切開し、筒を骨折椎体に挿入します。バルーンを筒の中に通して骨折椎体内で膨らませます。骨折で圧潰した椎体がある程度整復されます。 その後風船を回収して、膨らんで形成された空間にレントゲン透視を見ながら骨セメントを注入して手術は終了します。
術後経過
通常術後2日〜3日程度の入院期間が目安です。手術する椎体の数や全身状態にて入院の日数やリハビリの期間が変わります
術後は骨折椎体を保護するために硬性コルセットを約1~2ヵ月程度装着します。
合併症
- 骨セメントの漏出:骨セメントが骨折の隙間から漏れ血管や神経周囲にはいると肺塞栓や神経障害を起こすことがあります。
- 周囲椎体の骨折:セメントの強度と骨粗鬆症の椎体の強度に差が生じ、隣り合う椎体に負担がかかって、再骨折してしまうことがあります。
- アレルギー:骨セメントを使うため一過性のアレルギー反応や重篤な場合はアナフィラキシーショックを起こす事があります。
- その他のまれな合併症として深部静脈血栓症。肺炎などの感染症など。