膝が腫れて痛い!考えられる病気と対処法
脊椎センター長監修記事
大島功生
池袋西口病院脊椎センター長/日本整形外科学会専門医/日本脊椎脊髄病学会指導医
池袋西口病院では脊椎手術に特化した(池袋西口病院脊椎センター)を運営しています。その施設の責任者である大島功生医師監修の下、リハビリテーションや脊椎疾患、手術術式についても寄稿していきます。
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転んで地面にぶつけたわけでもなければ、スポーツ中にひねったわけでもないのに膝が腫れて痛い場合には、どのような原因が考えられるのでしょうか。
こちらの記事では突然膝が腫れた場合に疑われる5つの病気と、ひざを痛めやすい人の特徴、および対処法について解説します。
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【目次】
■膝が突然腫れた!?|考えられる5つの病気
■こんな人は注意!膝が痛みやすい人の特徴
■膝が痛む場合の対処法
■まとめ:膝の腫れが引かないときは早めに医療機関の受診を
膝が突然腫れた!?|考えられる5つの病気
特に思い当たる節がないのに膝が突然腫れて痛む場合、以下5つの病気の可能性が考えられます。
✔変形性膝関節症
✔関節リウマチ
✔痛風
✔偽痛風
✔半月板や靭帯の損傷
膝が突然腫れたときに考えられる5つの病気について解説します。
変形性膝関節症
変形性膝関節症は中高年以降の女性に多く見られる疾患の1つで、膝関節にくり返し外力が加わることで骨の変成を招きます。
初期段階では膝を動かす際に違和感を生じる程度ですが、進行するにつれ動き始めに膝の痛みが出たり、階段の昇り降りが困難となったりします。
最終的には歩行障害を招くこともあるため、なるべく早めに対処することが重要です。医療機関では保存療法や薬物療法などで改善を図りますが、日常生活に支障を来す場合には手術療法も検討されます。
関節リウマチ
関節リウマチは自己免疫疾患の一種で、原因不明の関節の腫れや痛みが突然のように現れます。男女比は1:4と女性に多く見られる疾患で、特に40代から60代での発症例が多くなっています。
しかし、近年は社会の高齢化が進んだことから、70代以降の発症も増えているため注意が必要です。関節リウマチと似た症状が出る女性に多い疾患にへバーデン結節があります。
関節リウマチとの違いは、へバーデン結節が主に指の第一関節に見られるのに対し、関節リウマチは主に指の第二関節に見られる点です。また、関節リウマチの場合は両側性(両側に同じ症状があらわれること)である点も特徴です。
関節リウマチは最初、手の指など小さな関節に発症しますが、症状が進行するに従い、次第に膝関節や股関節などの大きな関節にも症状があらわれます。
痛風
痛風はある日突然のように、足の親指などが激しく痛む病気です。風が吹いても痛いと形容されるように、非常に強い痛みに襲われる点が特徴です。足の親指だけでなく、足の裏やかかと、膝などに症状があらわれることもあります。
発症すると1日から2日の間にピークを迎えますが、2週間ほどすると何事もなかった症状が消失します。しかし、適切な治療を怠ると再発する間隔が短くなり、関節破壊を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
偽痛風
偽痛風は症状こそ痛風と似ているのですが、発症原因が異なります。痛風は尿酸が結晶化して関節内にたまることで症状を引き起こすのに対して、偽痛風の場合はピロリン酸カルシウム二水和物によって引き起こされます。
足の指など小さな関節に多く見られる痛風とは異なり、膝や肩など大きな関節に症状が出やすい点も特徴です。また、痛風は中年男性に多く見られますが、偽痛風は60代〜80代の女性に多く見られます。
痛風発作に対しては鎮痛薬を用いて、症状が落ち着いたら尿酸を下げる治療薬が用いられますが、偽痛風に対しては鎮痛剤やステロイド剤を用いることが一般的です。
半月板や靭帯の損傷
何らかの原因によって半月板や靭帯(じんたい)の損傷を負った場合に、膝関節の腫れや痛みが見られることもあります。半月板や靭帯の損傷はスポーツだけでなく、日常的な膝への負荷の繰り返しによって発症するケースもあります。
半月板を傷める代表的な疾患が半月板損傷です。膝関節のクッションの役目を果たす半月板を傷めると、関節に炎症を起こして痛みが出やすくなります。
また、関節軟骨が剥がれて膝関節に挟まると、ロッキングを起こして膝の曲げ伸ばしが困難になり、場合によっては歩行に支障を来します。
膝の靭帯を損傷する疾患は前十字靭帯損傷や内・外側側副靭帯損傷などさまざまです。半月板や靱帯の損傷を放置すると、変形性膝関節症を発症しやすくなるため注意が必要です。
【関連記事】
★変形性膝関節症(OA)はどのような運動をすればいいか
こんな人は注意!膝が痛みやすい人の特徴
半月板損傷や靱帯断裂などのケガは誰でも負う可能性がありますが、以下に当てはまる方は日常の動作や仕事で膝関節を痛めやすいと考えられます。
✔立ちっぱなしの人
✔姿勢が悪い人
✔股関節・足関節が硬い人
膝が痛みやすい人の特徴について解説します。
立ちっぱなしの人
膝が痛みやすい人の特徴の1つが、立ちっぱなしでいる時間が長いことです。立っている時間が長いと、重力の影響で膝関節に大きな負担がかかるため、膝を傷めるリスクが高くなります。
中でも膝の曲げ伸ばしをおこなう仕事や、重量物を持ち上げる仕事などをしていると、半月板損傷や変形性膝関節症などを発症しやすくなります。
姿勢が悪い人
姿勢が悪い人も膝関節を傷めるリスクが高いです。例えば猫背の姿勢になると顔が前にスライドして、骨盤が後ろに傾きます。骨盤が後ろに傾くと股関節の外旋によりO脚気味になるため、変形性膝関節症の発症リスクが高くなります。
反対に反り腰の姿勢を続けると、大腿四頭筋(だいたいしとうきん・太ももの前側にある大きな筋肉群)の緊張により、膝蓋骨(膝のお皿)が引っ張られ、膝蓋腱炎などの疾患を引き起こしやすくなります。
股関節・足関節が硬い人
股関節・足関節(足首)が硬い人は、膝を痛めやすいため注意が必要です。膝関節は主に曲げる・伸ばす動作しかできないため、股関節や足関節が硬いと膝への衝撃を吸収できなくなります。
例えば階段を降りるときに足首がクッションとしてはたらいてくれないと、膝関節にその分だけ負担がかかります。股関節・足関節の硬さが膝の痛みをもたらしているようであれば、可動域を広げるための運動療法などが必要です。
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★【股関節に違和感?】4つの原因と治療方法
膝が痛む場合の対処法
膝が痛む場合に、下記の方法で症状を緩和できる可能性があります。
✔大腿部をマッサージする
✔お風呂でよく温める
✔適度な運動をする
✔装具を使って負担を減らす
膝が痛む場合の対処法について解説します。
大腿部をマッサージする
膝が痛む場合に大腿部をマッサージすると、症状を緩和できる可能性があります。大腿部には大腿四頭筋と呼ばれる大きな筋肉が付着しており、膝関節を伸展させるだけでなく、膝関節を支える重要な働きがあります。
大腿四頭筋が硬くなると膝蓋骨が引っ張られ、結果として膝の痛みを引き起こしやすくなるため注意が必要です。大腿四頭筋を緩めるには、お風呂などで軽くマッサージすることがおすすめです。
お風呂でよく温まる
膝の痛みがズキズキと拍動するような激しいものではない場合、お風呂で温めてみましょう。お風呂で温めて楽になるようであれば、筋緊張が原因で膝の痛みを引き起こしていると考えられます。
温めて痛みが増すようであれば、強い炎症状態や細菌感染などが疑われるため、なるべく早めに専門医の診察を受けましょう。
適度な運動をする
膝の痛みを改善するためには、適度な運動も重要です。痛いからといって過度に安静にしていると、筋力の低下や筋緊張などが原因で、さらに症状を悪化させる可能性があります。
装具を使って負担を減らす
膝の痛みが強い場合には、サポーターなどのすぐを使うことで、膝の負担を軽減して痛みを緩和する方法があります。変形性膝関節症や靭帯損傷、関節リウマチを発症した場合などに効果的です。
まとめ:膝の腫れが引かないときは早めに医療機関の受診を
膝の痛みがスポーツにともなうケガなどであれば分かりやすいのですが、突然のように腫れや痛みがあらわれると驚かれることもあるでしょう。
確かに半月板損傷や靱帯損傷などはスポーツ中に多く見られるケガの1つですが、日常の生活における動作でも起こる得るため注意が必要です。
ズキズキと激しい痛みでない場合は、お風呂で温めてみることがおすすめです。温めて症状が緩和するようであれば、筋緊張や関節の硬さが原因と考えられます。セルフケアで改善が見られない場合は、なるべく早めに専門医の診察を受けましょう。
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