関節が痛い!痛くなる原因と考えられる疾患
脊椎センター長監修記事
大島功生
池袋西口病院脊椎センター長/日本整形外科学会専門医/日本脊椎脊髄病学会指導医
池袋西口病院では脊椎手術に特化した(池袋西口病院脊椎センター)を運営しています。その施設の責任者である大島功生医師監修の下、リハビリテーションや脊椎疾患、手術術式についても寄稿していきます。
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関節の痛みはスポーツにともなう衝撃や加齢、体重の増加、病気などさまざまな原因によって起こります。関節痛には炎症の有無に応じて適切に対処することが重要です。
こちらの記事では関節痛の主な種類や炎症の有無、および適切な対処法について解説します。関節痛にお困りの方は参考にしてください。
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【目次】
■関節痛の主な種類
■関節痛とは?|主な原因と症状
■関節痛の対処法
■まとめ:少しでも気になる方は病院での受診を
関節痛の主な種類
関節痛は大きく炎症があるものとないものと、2つのパターンに分けられます。
炎症をともなう関節痛
ケガや病気が原因で関節痛を発症したときに、炎症をともなうケースがあります。炎症には以下の5大兆候があります。
✔疼痛(とうつう)
✔発赤(ほっせき)
✔腫脹(しゅちょう)
✔熱感
✔機能障害
関節痛にともない炎症を起こすと、患部にうずくような痛みが出るだけでなく、関節の周りが赤く腫れたように熱を持ちます。また、関節の曲げ伸ばしが困難になるなど、機能障害をともなう点が特徴です。
炎症をともなう場合、血液検査を行うと白血球の数値が高くなります。炎症を放置すると関節が破壊され、日常生活に支障を来すこともあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
炎症をともなわない関節痛
関節痛の中には炎症が見られないものもあります。例えば筋肉が硬くなって骨を引っ張って痛みが出る例や、筋緊張により神経圧迫を起こしているような例です。
炎症の有無を判断する簡単な方法がお風呂につかることです。お風呂につかってズキズキと痛みが増すようであれば、関節の炎症を起こしていると考えられます。
お風呂につかって気持ちよく感じる場合や、症状が緩和する場合には、筋緊張による関節の痛みが起こっていると考えられます。
関節痛とは?|主な原因と症状
「関節が痛い」「腫れている」などの症状がある場合、以下の病気の可能性が疑われます。代表的な病名と症状を紹介いたします。
炎症をともなう場合
関節の痛みにともなって腫れが見られる場合、以下3つの病気の可能性が疑われます。
✔関節リウマチ
✔化膿性関節炎
✔痛風
炎症をともなう関節の痛みがある場合に疑われる3つの病気について解説します
関節リウマチ
化膿(かのう)性関節炎は何らかの原因によって関節の内部へと細菌が侵入し、感染を引き起こす病気の一種です。通常は細菌が原因となって発症しますが、ウイルスや真菌(カビの一種)が原因となるケースもあります。
化膿性関節炎を引き起こす代表的な原因菌が黄色ブドウ球菌です。透析を行っている方や免疫抑制剤を服用している方など、免疫力が低下している方は化膿性関節炎を発症するリスクが高いとされます。
化膿性関節炎を発症した場合、関節の痛みや腫れだけでなく、発熱や食欲不振、悪寒、倦怠(けんたい)感など全身症状も見られる点が特徴です。
痛風
痛風は体内にたまった尿酸が結晶化し、関節内の組織を刺激することで炎症が生じる病気です。風が吹いても痛いといわれるほど、激しい痛みを生じる点が特徴です。
関節リウマチの場合は左右同時に症状が出やすいのですが、痛風の場合はどちらか一方にのみ症状が見られます。また、関節リウマチが女性に多く見られるのに対し、痛風は男性に多く見られる点が特徴です。
痛風の発作は通常24時間程度でピークを迎え、歩行困難なほどの痛みが現れます。しかし、2週間ほどたつと何事もなかった症状が消失することも少なくありません。
炎症をともなわない場合
炎症をともなわない関節痛には主に以下の2つがあります。
✔線維筋痛症
✔変形性関節症
炎症をともなわない2つの関節痛について解説します。
線維筋痛症
線維筋痛症は中年期以降の女性に多く見られる病気で、関節の痛みだけでなく頭痛や激しい疲労感、抑うつなどさまざまな症状をともないます。
線維筋痛症を発症すると、身体の広い範囲にわたって痛みが見られる点が特徴です。患者さんの中にはガラス片が体内に入ったような鋭い痛みと表現される方もいます。
命に関わるような病気ではありませんが、原因がはっきりしないため長期にわたって苦しめられる方も少なくありません。
変形性関節症
変形性関節症は加齢や体重の増加などが原因で、関節の変形や痛みを生じる病気です。変形が生じる主な箇所としては股関節や膝関節、指の関節などがあげられます。
中でも多く見られる病気が、変形性膝関節症や変形性股関節症です。中年期以降の女性に多く見られ、初期には関節のこわばりを感じる程度ですが、進行すると歩行障害を引き起こすことがあります。
その関節痛はもしかしたら風邪かも!|インフルエンザ・コロナの可能性も
関節の痛みにともなって発熱が見られる場合には、風邪の可能性があります。また、筋肉痛やのどの痛みなど、関節痛以外の症状もでている場合では、インフルエンザまたは新型コロナウイルス感染症も疑われます。
関節の痛みは通常整形外科で見てもらうことが一般的ですが、発熱やのどの痛みなどが見られる場合は、まず内科を受診するとよいでしょう。
【関連記事】
★変形性膝関節症(OA)はどのような運動をすればいいか
★新型コロナウィルスとは
★インフルエンザ(最近のトピックや予防など)
関節痛の対処法
✔適度な運動
✔市販の薬を服用
✔熱を持っているか持っていないかで変わる対処法
関節痛の対処法を3つご紹介します。
適度な運動
お風呂で温めて関節の痛みが楽になるようであれば、適度な運動で血行を促進することがおすすめです。簡単なストレッチやウォーキング、ヨガなどに取り組んで関節の柔軟性を高め、周囲の筋肉を柔軟に保つことが大切です。
市販の薬を服用
関節の痛みが強い場合は、市販の薬を服用する方法もあります。関節痛にはロキソプロフェンやイブプロフェンを配合した内服薬を利用することが一般的です。また、シップや塗り薬など外用薬の使用も効果的です。
熱を持っているか持っていないかで変わる対処法
関節痛への対処法は、熱のある・なしで変わります。
患部に熱がある場合
打撲などが原因で患部に熱がある場合は、横になるなどして無理に関節を動かさないように安定させましょう。また、患部に熱があるときは、すぐに冷やすことで痛みや腫れを抑えることができます。アイスパックなどで1時間につき10分程度患部を冷やしましょう。
患部のアイシングを行いながら、関節を心臓より高い位置に上げることも効果的です。心臓より高い位置に上げると、患部に血液が流れないようになるため、腫れの悪化を抑えられます。
患部に熱がない場合
患部に熱がない場合は、温めることが有効です。患部をサポーターなどで保護することも効果的です。ケガなどが原因の炎症であっても、発症から48時間ほど経過したら温める方向に切り替えましょう。
また、患部に熱がない場合は過度の安静は控えましょう。安静にしすぎるとかえって関節まわりの筋肉が硬くなり、血行不良を引き起こすなどして症状の回復を遅らせる結果となりかねません。
まとめ:少しでも気になる方は病院での受診を
関節の痛みには炎症をともなうものと、炎症をともなわないものと2種類があり、それぞれ適切に対処することで症状を緩和し、回復を早めることが期待できます。
ただし、関節の痛みにともない発熱や喉の痛み、倦怠感、抑うつ症状などが見られる場合、インフルエンザや新型コロナウイルスに感染している可能性も疑われます。
変形性関節症を発症した場合、初期にはこわばりを感じる程度ですが、進行すると歩行が困難になる可能性もあるため注意が必要です。関節の痛みが少しでも気になる方は、病院の受診をおすすめします。
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