痔瘻とは?|痔瘻の症状と治療方法
最近、肛門の辺りに違和感があったり、痛みを感じたりしたことはありませんか?それはもしかしたら「痔瘻」という病気のサインかもしれません。痔瘻は他の肛門周囲の病気と症状が似ており、適切な治療が遅れることがあります。肛門周囲の症状に悩む方や痔瘻に悩む方、その家族が適切な治療を受ける手助けとなるよう、痔瘻の症状や治療方法について解説していきます。
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【目次】
■痔瘻とは?
■痔瘻の術式|それぞれのメリットとデメリット
■痔瘻を放置すると…
■まとめ
痔瘻とは?
痔瘻は「穴痔」とも呼ばれ、肛門周囲の皮膚と直腸が『瘻管』と呼ばれる管状のトンネルでつながる状態です。肛門内部の瘻管の入り口から細菌が入り、膿が溜まり続けると溜まった膿は逃げ場を求めて瘻管が広がっていきます。肛門内部から発生した膿が排出されることを繰り返した結果、膿が溜まっていた箇所が硬くなり瘻管となることが多いです。痔瘻になってしまうと自然治癒することはほとんどありません。瘻管の位置や大きさにより肛門筋への悪影響がでることもあり、排便の機能が低下することもあります。
こんな症状は痔瘻のサイン?痔瘻の7つの症状
次のような症状がある場合、痔瘻である可能性が高まります。また、これらの症状は風邪と同様に感染を起こした際の所見と一致しており、肛門内部での感染を起こしているため起こります。
✓肛門の周囲の腫れとズキズキした痛み:痔瘻の典型的な症状で、特に悪化すると強い痛みを伴います。
✓しこりがある:肛門の周囲に触れると固いしこりを感じることがあります。
✓排便の有無にかかわらず、肛門に痛みがある:通常の痔とは異なり、痔瘻は常に痛みを感じることが特徴です。
✓発熱がある(38~39℃):痔瘻が感染して膿がたまると発熱を伴うことがあります。
✓肛門から膿が出てくる:瘻管からは黄色い膿や液体が排出されることがあります。
✓痛みで椅子に座れない:痛みが強い場合、座ることが困難になることも。
✓下着が汚れる:瘻管からの分泌物で下着が汚れることがあります。
痔瘻の原因
痔瘻の主な原因は、肛門腺いう肛門内部にある小さな管の感染です。まず、肛門周囲で感染を起こしその感染が肛門内部へ広がります。肛門周囲で感染により膿ができることを肛門周囲膿瘍と言います。この肛門周囲膿瘍は痔瘻の初期段階とも言われます。
肛門周囲膿瘍から肛門内部に細菌が入り込み感染が進行し、膿がたまると、その膿を体外に排出するために膿が肛門内部から体外へ排出が繰り返されます。その結果、瘻管が形成されます。
また、他の肛門の病気や手術の後遺症、特定の病気によっても同様の経過をたどり痔瘻が発症することが知られています。
治療方法
痔瘻の治療は薬物治療や生活習慣の見直しにより治療することができません。そのため、一般的には手術が推奨されることが多いです。手術は病状や瘻管の位置、痔瘻のタイプに応じて選択されます。治療法の選択次第で外来での治療や日帰り手術も選択されることがあります。
痔瘻の種類|単純痔瘻から複雑痔瘻まで
痔瘻は5つのタイプに分けられます。
Ⅰ型(皮下痔瘻)
肛門のすぐ下の皮膚内に瘻管がある場合です。
ⅡL型(低位筋間痔瘻)
肛門筋の下部に瘻管が位置する場合です。
ⅡH型(高位筋間痔瘻)
肛門筋の上部に瘻管が位置する場合です。
Ⅲ型(坐骨直腸窩痔瘻)
肛門よりも深く、骨盤内に瘻管が位置する場合です。
Ⅳ型(骨盤直腸窩痔瘻)
最も深い部分に瘻管が位置する場合で、治療が難しいとされています。
このように痔瘻は分類されますが、瘻管の位置が治療法の選択に大きな影響を与えます。瘻管の位置が肛門筋より下にあるか、上にあるかいうことが重要です。肛門筋より上部にある場合は肛門筋への影響が大きくなる場合が多いため、排便が適切に行えない可能性があります。そのため、肛門筋へのダメージが大きくなるかどうかは治療法を選択する際に考える必要があります。
痔瘻の術式|それぞれのメリットとデメリット
肛門内部から皮膚までつながった瘻管を広げる手術です。Ⅰ型(皮下痔瘻)やⅡL型(低位筋間痔瘻)の状態に対して行われます。瘻管や瘻管周囲のダメージがあるため痛みが強く出ます。しかし、再発率が低いことや治療期間が短くなる治療法です。
比較的軽症の痔瘻に対して行われるので、瘻管が肛門より上にあるものや複雑なものに対しては肛門筋へのダメージが大きくなるため選択されません。
瘻管切開開放術(lay open法)
肛門内部から皮膚までつながった瘻管を広げる手術です。Ⅰ型(皮下痔瘻)やⅡL型(低位筋間痔瘻)の状態に対して行われます。瘻管や瘻管周囲のダメージがあるため痛みが強く出ます。しかし、再発率が低いことや治療期間が短くなる治療法です。
比較的軽症の痔瘻に対して行われるので、瘻管が肛門より上にあるものや複雑なものに対しては肛門筋へのダメージが大きくなるため選択されません。
●適応:Ⅰ型(皮下痔瘻)ⅡL型(低位筋間痔瘻)
●メリット:再発率が低く、治療期間が短い。
●デメリット:痛みが強いことや、瘻管が広範囲に及ぶ場合には適用が難しい。
シートン法
肛門内部の瘻管の入り口から皮膚にある瘻管の出口の間にシートンと呼ばれるヒモ状のものを通して少しずつ瘻管を開放していく手術です。少しずつ開放していくため治療が長期に渡ります。しかし、手術による瘻管や肛門筋へのダメージが少ないこともあり、痛みが比較的少ないことや瘻管が肛門筋より上部にある場合つまりⅡH型(高位筋間痔瘻)やⅢ型(坐骨直腸窩痔瘻)、Ⅳ型(骨盤直腸窩痔瘻)にも適用できます。
シートンの材料としてはナイロン糸,ペンローズド レーン,ベッセルループ,ゴム糸などが使用されため、アレルギーがあるか場合にも安心できます。
●適応:ⅡH型(高位筋間痔瘻)Ⅲ型(坐骨直腸窩痔瘻)Ⅳ型(骨盤直腸窩痔瘻)
●メリット:高位の瘻管や複雑な痔瘻にも適用可能。痛みが少ない。
●デメリット:治療期間が長く、数回の手術が必要となる場合がある。
肛門筋温存法(くりぬき法)
肛門筋へのダメージが少ない術式で瘻管全体を除去する治療方法です。この治療法は肛門筋を温存することができるため、痔瘻の影響により排便の機能がすでに低下している場合により選択されます。手術での瘻管周囲へのダメージが大きいため痛みが強くなり、入院が長期に渡ることがあります。その一方で肛門内部の瘻管の入り口を覆うため再発率が低くなります。また、肛門筋へのダメージが少ないため、排便の機能が低下することも防ぐことができます。
●適応:排便の機能が低下している場合
●メリット:瘻管の周囲の組織を除去するため、再発率が低い。排便の機能を保てる。
●デメリット:痛みが強いことや、長期の入院が必要となる場合がある。
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痔瘻を放置すると
痔瘻は放置しておくと膿が溜まり、排出することを繰り返して、瘻管が広範囲に広がったりしていきます。このように病状が悪化して、複雑な痔瘻になっていく恐れがあります。その場合治療が困難になる場合があります。また、まれにがんになる可能性もあります。
まとめ
痔瘻は早期に治療を受けることが大切な病気です。痔瘻による症状は日常生活に多大な影響を与えることでしょう。自然治癒することが難しい病気のため、できるだけ早く受診をすることが大切になってきます。また、痔瘻には様々なタイプがあり、それぞれの状態によって治療の選択が簡単なものから大変なものになります。早期発見、早期治療により症状の改善は痔瘻による苦しみからより解放される手助けとなります。
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